胃がん検診


胃の一次検診

 胃の集団検診は、一次検診として現在の症状や既往歴の有無をお聞きし、過去の検診受診歴を確認する問診と胃のX線間接バリウム検査を行います。
 胃バリウム検査は前日の午後10時から一切の飲食をしないで、胃の中を空っぽにした状態で行います。
 胃の中に食べ物が残っていますと、それが妨げとなり胃の中が見えなくなってしまいます。
 また、おなかのまわりにX線写真に写るもの(ボタン、金具類など)がない服装でお越しいただけますと、着替えをしたりせず、
 そのまま検査を受けることができますので大変便利です。


胃のX線間接バリウム検査

 検査の前に発泡剤とバリウムを飲みます。
 そして撮影台の上に乗り、体を回転させたり方向を変えながら約7枚(胃の形により多少増えることがあります)のX線写真を撮ります。
 この写真を専門医が見て診断し、その診断結果が郵送されます。
 2001年度、当センターでは一次検診を受けた方の9%弱が要精検(精密検査が必要)となりました。


胃がん

 胃がんは日本人のがんの5分の1を占め、40歳代からは罹患(病気にかかる)率も死亡率も急に高くなります。
 2000年には、男性32798人、女性17845人、計50650人が胃がんで命を奪われています。
 胃は5層からなる壁で構成されており、内側から粘膜・粘膜筋板・粘膜下層・固有筋層・漿膜となっています。
 胃がんはまず粘膜にできてしだいに深く浸潤していきますが、粘膜下層までにとどまっているものを早期がん、固有筋層以上に及んだものを進行がんといいます。
 早期がんのうちに発見すると100%近く治りますが、進行がんになると胃の外に転移しやすくなって、完全に治ることが難しくなってしまいます(下図参照)。
 しかも早期・進行にかかわらずに自覚症状がありません。
 胃がんにかかった方を検診を受けている集団と受けていない集団に分けると、受けている集団の方が圧倒的に早期がんの割合が高いのです。


 したがって、自分が健康だと思っていても定期検診を受け、早期発見することが極めて大切です。


 バリウムの内容

    
比較しやすいように大きいコップを使用しました。
  1997年5月以前    1997年5月〜
       2001年10月
現在
250cc 150cc 110cc
濃度 100% 130% 180%
飲み方 撮影開始前に発泡剤(3.5g)とバリウム一口飲み、
撮影中に残り全部飲む。
撮影開始前に発泡剤(4g)とバリウムをすべて飲む。 撮影開始前に発泡剤(5g)とバリウムをすべて飲む。

上図のようにバリウムの濃度を上げることことによって(100%→130%→180%)、胃の表面(粘膜面)にバリウムがよく付くようになり診断精度が次第に向上しております。
また、その分バリウムの量は250cc→150cc→110ccと減っています。

発泡剤 ・ 胃の中で溶けて炭酸ガスを発生し胃をふくらませる薬。
       胃を充分にふくらませる事によって、粘膜表面の細かな凹凸ができる。
ゾルタイプ ・ 最初から液状になっているバリウム製剤。
粉末タイプ ・ バリウム粉末に水を加え濃度を調節して使用するバリウム製剤。